離婚に伴う財産分与の詐害行為該当性
離婚の財産分与は原則セーフ!でも「過大すぎる分与」は詐害行為になる
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事案の概要
争点
判旨
【原文】
離婚に伴う財産分与は、民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情のない限り、詐害行為とはならない。
判決
関連法令の解説
この条文は詐害行為取消権(債権者取消権)を定めています。債務者が債権者を害することを知りながら行った財産処分を、債権者が裁判所を通じて取り消せると規定しています。ただし同条2項で「財産権を目的としない行為」には適用されないとされており、身分行為としての性質を持つ財産分与との関係が問題になります。
民法768条3項
この条文は離婚に伴う財産分与の基準を定めています。財産分与の額・方法は「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して」定めるとされており、清算・扶養・慰謝料という複合的な性質を持つ財産分与の合理的な範囲を判断する基準となります。本判決ではこの「趣旨に反して不相当に過大」かどうかが詐害行為該当性の判断基準として用いられました。
身近な例え
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
詐害行為として取り消せるのは不相当に過大な部分に限られ、財産分与全体が取り消されるわけではない
注意:相続放棄は身分行為として詐害行為の対象にならないが、遺産分割協議は財産権を目的とする行為として対象となる(最判平11.6.11)との対比を押さえること
離婚慰謝料の合意については別途基準があり、負担すべき損害賠償額を超えた部分が詐害行為の対象となる(最判平12.3.9)
民法424条2項「財産権を目的としない行為には適用しない」との関係で、財産分与の身分行為的性質と財産的性質の両面を理解しておくこと
関連法令
出題年度
関連判例
特定債権保全のための詐害行為取消権
詐害行為取消権の被保全債権の原則は金銭債権 特定物引渡請求権でも、目的物が処分されて無資力になった場合は被保全債権になりうる(例外) 理由:特定物債権も最終的には損害賠償債権(金銭債権)に転化しうるから、一般財産による担保が必要な点は金銭債権と同じ 大法廷判決である点に注目(小法廷ではなく大法廷が判断した重要判例) 不動産の二重譲渡で第一買主が詐害行為取消権を使うケースの典型例(登記を備えられなかった買主が詐害行為取消で対抗するルート) 対比:単純な二重譲渡で第二買主が登記を備えた場合、第一買主は原則として第二の売買を詐害行為として取り消せない(本判決は無資力要件が満たされた場合に限り例外を認めた)
時効の援用権者・詐害行為の受益者
詐害行為の受益者は、取消債権者の被保全債権の消滅時効を援用することができる 援用できる根拠:被保全債権が消滅すれば詐害行為取消権も行使できなくなり、受益者が得た利益を守ることができるという直接的な利益があるから 本判決の判例法理は平成29年改正で民法145条に明文化された(「権利の消滅について正当な利益を有する者」として受益者が含まれる) 注意:「反射的な利益にすぎない」として援用が認められない例→後順位抵当権者(最判平11.10.21)は先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できない 一般債権者(ライバルの債権者)も直接の利益がないため、原則として他人の時効を援用できない
第三者に交付された貸付金の返還
借主の指示で貸主が第三者に直接給付した場合、原則として借主は給付額相当の利益を受けたとみなされる(民法703条) ただし、借主と第三者の間に何の関係もなく、強迫など特段の事情がある場合は例外として借主の利得が否定される 注意:「自分が直接受け取っていない」という事実だけでは利得の否定理由にならないのが原則であることを押さえること 民法703条の不当利得の返還範囲は**「現に利益を受けている限度」**であり、善意の受益者は利益が消滅していれば返還義務を免れる(民法703条)点も整理しておくこと 消費貸借契約の取消し(錯誤・詐欺・強迫など)により法律上の原因が遡及的に消滅し、不当利得返還請求が発生するという流れを理解すること
錯誤による和解契約
合意解除と転得者の関係は対抗関係として処理され、転得者が保護されるには登記が必要(善意であっても不可) 債権者代位による登記請求も、代位する丙自身が登記を備えていなければ認められない 注意:合意解除前の第三者保護は民法545条1項ただし書が根拠だが、保護のためには対抗要件(登記)の具備が必要 信義則に反する特段の事情がある場合は例外的に登記なしでも保護される余地がある(最判昭45.3.26と対比して押さえること) 解除前の第三者は登記が必要、解除後の第三者も登記で対抗関係を処理する点をセットで整理すること
有責配偶者からの離婚請求
有責配偶者からの離婚請求が例外的に認められる3要件:①相当長期間の別居、②未成熟の子がいない、③著しく社会正義に反する特段の事情がない 注意:3要件はすべて満たす必要があり、一つでも欠けると原則に戻り認められない 未成熟の子とは経済的に独立していない子であり、成人した子は含まれない 相手方の経済的不利益は財産分与・慰謝料で解決すべきものとされ、離婚否定の根拠にならない 本判決は従来の判例を変更した大法廷判決であり、判例変更として位置づけられている
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