場外車券発売施設設置許可と原告適格
競輪場外施設の設置許可を争える人は誰?近くにいるだけでは足りない、法令による個別保護がポイント
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事案の概要
争点
判旨
判決
関連法令の解説
取消訴訟は「当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」が提起できると定めています。「法律上の利益」は、処分によって自己の権利または法律上保護された利益を侵害された者に認められます。単に事実上の不利益を受けるだけでは足りません。
行政事件訴訟法9条2項(原告適格の判断基準)
原告適格の有無を判断するにあたっては、処分の根拠となる法令の規定の文言・趣旨・目的のほか、関係法令の趣旨・目的、処分において考慮される利益の内容・性質等を総合して考慮すべきことを定めています。本判決はまさにこの判断枠組みに沿って各人の原告適格を丁寧に検討しました。
自転車競技法4条2項(場外施設の設置許可)
競輪の車券発売等の施設を場外に設置しようとする者は経済産業大臣の許可を受けなければならないと定めています。本件許可の根拠条文です。
自転車競技法施行規則15条1項1号(位置基準)
場外施設の位置は「文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがない場所」であることを許可要件(位置基準)として定めています。この位置基準が誰の利益を個別に保護しているかが原告適格判断の核心となりました。
身近な例え
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
「法律上の利益」の有無は、根拠法令および関連法令の趣旨・目的を総合して解釈する(行訴法9条2項)
周辺住民・一般事業者・施設利用者は、位置基準が保護する利益がいずれも一般的公益にとどまるとして原告適格なし
医療施設の開設者は、静穏な環境で医療業務を営む利益が個別的利益として保護されているとして原告適格あり
注意:文教施設(学校等)の開設者も医療施設と同様に原告適格が認められる可能性がある点も押さえること
注意:「施設から1000m以内」は申請書添付書類の基準であり、原告適格の距離基準ではない。位置的に著しい業務支障のおそれがあるか否かが判断基準
関連法令
関連判例
運転免許停止処分取消請求事件
運転免許停止処分は、停止期間の満了と処分日から1年間の無違反・無処分の両方が経過すると、訴えの利益が消滅する 「違反記録が警察に残る」「名誉・感情への影響」は事実上の効果にすぎず、法律上の利益ではない 注意:停止期間が満了しただけでは足りず、1年間無違反・無処分という要件も必要な点がひっかけになりやすい 行政事件訴訟法9条の「法律上の利益」は、法令上根拠のある具体的な不利益の回復を意味し、感情的・事実的な不利益は含まれない 本判例は訴えの利益の消滅の典型例として、取消訴訟の原告適格・訴えの利益の問題とセットで整理しておく
東京12チャンネル事件
競願関係では、拒否された者には2つの訴訟手段がある:①ライバルへの免許付与処分の取消訴訟、②自分への拒否処分の取消訴訟 キーワードは「表裏の関係」:一方への許可と他方への拒否は切り離せない関係にある 原告適格の根拠:処分が取り消されれば審査がやり直されて自分が免許を得られる可能性=法律上の利益がある 注意:単なる「商売上のライバルがいなくなってほしい」という事実上の利益だけでは原告適格は認められない。競願関係という法的構造があって初めて認められる 本件と同日(昭43.12.24)に「墓地埋葬通達事件」(通達に処分性なし)も言い渡されており、混同注意
もんじゅ訴訟
無効確認訴訟の「法律上の利益を有する者」の判断は、当該法規が不特定多数者の利益を個々人の個別的利益としても保護しているかどうかによる 本件では原子炉から29〜58km圏内の住民に原告適格が認められた 注意:原告適格の判断基準は行訴法9条(取消訴訟)と行訴法**36条(無効確認訴訟)**で同義に解される 民事差止め訴訟は「当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴え」に該当しないため、無効確認訴訟の補充性要件(行訴法36条)を否定する根拠にならない 無効確認訴訟は、民事差止め訴訟よりより直接的・適切な紛争解決手段として位置づけられる点も重要
小田急高架化訴訟
原告適格の判断基準:当該行政法規が「個々人の個別的利益としても保護する趣旨」を含むかどうか 都市計画事業の認可に対して、「騒音・振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接受けるおそれのある者」には原告適格が認められる 原告適格の判断には関係法令(環境影響評価条例等)の趣旨・目的も参酌される(行訴法9条2項) 注意:原告適格が認められても、本案審理では違法と認められなかった(裁量権の逸脱・濫用なし)という結論に至っている 本判例は2004年の行訴法改正後に大法廷で原告適格を拡大した画期的判例として位置づけられる
新潟空港訴訟
社会通念上著しい障害を受けることとなる飛行場周辺住民には定期航空運送事業免許の取消訴訟における原告適格がある 原告適格の根拠:航空法の免許基準が周辺住民の個別的利益も保護する趣旨を含むから 行訴法10条1項:取消訴訟では自己の法律上の利益に関係のない違法を取消理由とすることはできない 注意:原告適格が認められても、主張できる違法事由は自己の利益と関連するものに限られる 小田急高架訴訟(最大判平17.12.7)や場外車券発売施設訴訟(最判平21.10.15)と並んで第三者の原告適格に関する重要判例として整理すること
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