新潟空港訴訟
著しい騒音被害を受けるおそれのある周辺住民に原告適格あり!でも他人のための違法は主張できない
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事案の概要
争点
判旨
【原文】
新たに付与された定期航空運送事業免許に係る路線の使用飛行場の周辺に居住していて、当該免許に係る事業が行われる結果、当該飛行場を使用する各種航空機の騒音の程度、当該飛行場の一日の離着陸回数、離着陸の時間帯等からして、当該免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、当該免許の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有すると解するのが相当である。
判決
関連法令の解説
この条文は取消訴訟を提起できる者を「法律上の利益を有する者」に限定しています。本判例では、航空法の趣旨・目的から、騒音による著しい障害を受けるおそれのある周辺住民が「法律上保護された利益」を有するとして原告適格が認められました。処分の相手方以外の第三者への原告適格を認めた重要判例です。
行政事件訴訟法10条1項(主張制限)
この条文は「取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない」と定めています。本判例では、周辺住民が自己の騒音被害と無関係な免許付与手続の違法を主張することは同条により許されないとされました。
航空法(定期航空運送事業免許の基準)
航空法の免許基準は、事業計画の合理性・輸送の安全性だけでなく、航行に伴う騒音等による障害の防止を考慮することを求めており、この規定が周辺住民の個別的利益を保護する趣旨を含むものとして原告適格の根拠となりました。
身近な例え
ざっくりまとめ
航空法の根拠となる規定は、単に公益を守るためだけじゃなくて、騒音で著しい障害を受けるおそれのある周辺住民の利益を個別的に保護する趣旨も含むとされたんだよ。
だから社会通念上著しい障害を受けることとなる周辺住民には原告適格が認められるんだ。
でも行訴法10条1項が「自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることはできない」と定めているから、自分の騒音被害と関係のない免許手続の瑕疵などは主張できないという制限も示されたんだよ。
試験対策ポイント
原告適格の根拠:航空法の免許基準が周辺住民の個別的利益も保護する趣旨を含むから
行訴法10条1項:取消訴訟では自己の法律上の利益に関係のない違法を取消理由とすることはできない
注意:原告適格が認められても、主張できる違法事由は自己の利益と関連するものに限られる
小田急高架訴訟(最大判平17.12.7)や場外車券発売施設訴訟(最判平21.10.15)と並んで第三者の原告適格に関する重要判例として整理すること
関連法令
出題年度
関連判例
場外車券発売施設設置許可と原告適格
原告適格が認められるのは**「法律上の利益を有する者」**(行訴法9条1項)であり、事実上の不利益を受けるだけでは足りない 「法律上の利益」の有無は、根拠法令および関連法令の趣旨・目的を総合して解釈する(行訴法9条2項) 周辺住民・一般事業者・施設利用者は、位置基準が保護する利益がいずれも一般的公益にとどまるとして原告適格なし 医療施設の開設者は、静穏な環境で医療業務を営む利益が個別的利益として保護されているとして原告適格あり 注意:文教施設(学校等)の開設者も医療施設と同様に原告適格が認められる可能性がある点も押さえること 注意:「施設から1000m以内」は申請書添付書類の基準であり、原告適格の距離基準ではない。位置的に著しい業務支障のおそれがあるか否かが判断基準
東京12チャンネル事件
競願関係では、拒否された者には2つの訴訟手段がある:①ライバルへの免許付与処分の取消訴訟、②自分への拒否処分の取消訴訟 キーワードは「表裏の関係」:一方への許可と他方への拒否は切り離せない関係にある 原告適格の根拠:処分が取り消されれば審査がやり直されて自分が免許を得られる可能性=法律上の利益がある 注意:単なる「商売上のライバルがいなくなってほしい」という事実上の利益だけでは原告適格は認められない。競願関係という法的構造があって初めて認められる 本件と同日(昭43.12.24)に「墓地埋葬通達事件」(通達に処分性なし)も言い渡されており、混同注意
もんじゅ訴訟
無効確認訴訟の「法律上の利益を有する者」の判断は、当該法規が不特定多数者の利益を個々人の個別的利益としても保護しているかどうかによる 本件では原子炉から29〜58km圏内の住民に原告適格が認められた 注意:原告適格の判断基準は行訴法9条(取消訴訟)と行訴法**36条(無効確認訴訟)**で同義に解される 民事差止め訴訟は「当該処分の効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴え」に該当しないため、無効確認訴訟の補充性要件(行訴法36条)を否定する根拠にならない 無効確認訴訟は、民事差止め訴訟よりより直接的・適切な紛争解決手段として位置づけられる点も重要
小田急高架化訴訟
原告適格の判断基準:当該行政法規が「個々人の個別的利益としても保護する趣旨」を含むかどうか 都市計画事業の認可に対して、「騒音・振動等による健康または生活環境に係る著しい被害を直接受けるおそれのある者」には原告適格が認められる 原告適格の判断には関係法令(環境影響評価条例等)の趣旨・目的も参酌される(行訴法9条2項) 注意:原告適格が認められても、本案審理では違法と認められなかった(裁量権の逸脱・濫用なし)という結論に至っている 本判例は2004年の行訴法改正後に大法廷で原告適格を拡大した画期的判例として位置づけられる
公衆浴場業距離制限規定事件
本判例の結論は**「原告適格あり(訴えの利益を有する)」**であり、「反射的利益にすぎず原告適格なし」という引っかけ選択肢に注意 原告適格が認められるのは、**「法律上保護された利益」**を有する者に限られる(行政事件訴訟法9条1項) 公衆浴場法の距離制限の趣旨は①国民保健・環境衛生という公益と、②既存業者を濫立競争から守る目的の両方を含むと解釈された点が判断の核心 反射的利益とは、法律が公益保護を目的として定めた結果、間接的・事実上もたらされる利益のことで、原告適格の根拠にはならない。本判例ではこの反射的利益にとどまらないと判断されたことが重要 注意:本判例は昭和37年当時の「行政事件訴訟特例法」下の判決。現行の**行政事件訴訟法9条2項(平成16年改正)**では原告適格の判断基準がさらに明文化・拡大されており、本判例はその出発点として位置づけられる
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