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A行政法行政手続

品川マンション事件

最高裁判所1985-07-16最判昭60.07.16
建築確認行政指導処分の留保裁量なし行政手続法33条

行政指導を理由に建築確認を止め続けるのは原則違法!嫌だと言ったら引き延ばせない

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判例図解

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なる子ちゃん

事案の概要

法人X(建築主)は東京都Y(行政側)の建築主事に対してマンション建築の確認申請を提出しました。しかし近隣住民の反対を受け、Yの職員はXに対して住民と話し合うよう行政指導を行い、その間、建築主事は建築確認処分を保留し続けました。Xは「不作為が違法だ」として審査請求をしましたが、申請から約5か月後にXが住民に金銭補償して和解し、ようやく確認処分が行われました。XはYに対して国家賠償法に基づく損害賠償を求めて提訴しました。
争点

争点

建築確認に行政庁の裁量(判断の余地)は認められるか。また、行政指導を理由に建築確認申請の処分を保留することは違法かどうかが争われました。
判旨

判旨

建築確認は、申請が要件を満たしているかを確認するだけの羈束行為であり、行政庁に裁量の余地はありません。審査の結果、要件を満たした場合には建築主事は速やかに確認処分を行う義務があります。ただしこの義務は絶対的ではなく、①建築主が処分の留保に任意に同意している場合、②留保が法の趣旨・目的に照らし社会通念上合理的と認められる場合には、例外的に留保が許されます。しかし、建築主が行政指導に従わない意思を明確に表明した場合には、建築主の不利益と行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量し、建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情がない限り、行政指導を理由に確認処分を保留し続けることは違法です。つまり、任意の協力を前提とする行政指導を盾に、法律上の権利実現を妨げることは原則として許されないということです。
判決

判決

建築確認に行政庁の裁量は認められず、また行政指導を理由とした確認処分の保留は、建築主の不協力が社会通念上正義に反する特段の事情がない限り、違法である(上告棄却、国家賠償請求を認容)。
関連法令の解説

関連法令の解説

行政手続法33条(申請に関連する行政指導)
この条文は、申請の取り下げや内容変更を求める行政指導において、申請者が「行政指導に従う意思がない」と表明した場合には、行政指導に携わる者はそれ以上の行政指導の継続等によって申請者の権利行使を妨げてはならないことを定めています。本判例(昭和60年)はこの条文が制定される前の事件ですが、本判決の判旨がそのまま立法化されたものです。行政指導はあくまで任意の協力を求めるものであり、それを盾にして申請者の法的権利の実現を妨げることを禁じる趣旨です。

建築基準法6条4項(当時)

申請を受理した日から7日以内に審査し、適合することを確認したときは確認済証を交付しなければならないと規定しています。この条文が、建築確認が羈束行為(裁量の余地がない行為)であることの根拠となっています。
身近な例え

身近な例え

免許の更新で、書類が揃っているのに「ボランティアに参加して」と言われて更新を止められたら困りますよね。任意のお願いで法的な手続きを止めてはいけないという話です。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

建築確認って、要件を満たしてれば役所は「確認しなければならない」って義務があるんだよね。裁量(役所の判断の余地)がない羈束行為なんだよ。だから「住民ともめてるから待ってね」って行政指導を理由に確認を止め続けることは、原則として違法!でも「嫌だ、従わないよ」って明確に言わないまま大人しくしてたら、ある程度の期間は保留も仕方ないってことになる。「もう従わない!」って明確に意思表示したあとが勝負ってことだよ。

試験対策ポイント

建築確認は羈束行為であり、要件を満たした申請に対して行政庁は確認処分をする義務があり、裁量は認められない
行政指導を理由に確認処分を保留することは原則として違法

例外①:建築主が処分の留保に任意に同意している場合は保留が許される

例外②:建築主が行政指導に任意に応じており、留保が社会通念上合理的と認められる期間内であれば直ちに違法とはならない

建築主が従わない意思を明確に表明した後は、特段の事情がない限り保留は違法となる

行政手続法33条はこの判例を基礎として制定された条文であり、セットで理解する

注意:行政指導自体が違法なのではなく、行政指導を理由とした処分の保留が違法とされた点を混同しないこと
法令

関連法令

関連判例

関連判例

行政法最高裁判所

武蔵野マンション事件

行政指導として寄付を求めること自体は任意性が確保されている限り適法 制裁措置を背景に事実上の強制となっている場合は行政指導の限度を超えた違法な公権力の行使 判断のポイント:①制裁措置の存在、②従わなければ事実上断念せざるを得ない状況、③実際に制裁が実行されていた事実 注意:目的が正当(市民の生活環境保護)で住民の支持があっても、手段が強制的であれば違法 行政手続法32条(行政指導の一般原則・不利益取扱いの禁止)と本判例の法理をセットで理解すること

行政法最高裁判所

病院開設中止勧告の処分性

処分性の原則:任意に従うことを求める行政指導は処分性なし 本判決の例外:行政指導であっても、従わない場合に相当程度確実に不利益な結果が生じる場合は処分性が認められる キーワードは**「国民皆保険制度」「保険医療機関の指定」「事実上病院経営が不可能」**の3点セット 処分性判断の着眼点:形式(行政指導か否か)ではなく実質的な法的・事実的効果で判断する 「形式は行政指導、実質は処分」という逆転パターンが本判決の核心 行政指導の処分性が問題になる典型判例として頻出。医療法の具体的な条文番号(30条の7)も押さえること

行政法最高裁判所

建築確認取消請求事件

建築確認の法的効果は「確認なしでは工事できない」という一点のみ 工事が完了すると建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われる 注意:保安林指定解除処分の取消訴訟(最判昭57.9.9)は代替施設設置後に訴えの利益が消滅した判例であり、本件と対比して押さえること 開発許可の取消訴訟は工事完了・検査済証交付後も訴えの利益が失われない(最判平27.12.14)との対比も重要 訴えの利益(狭義の訴えの利益)は口頭弁論終結時まで存続している必要がある

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