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A民法総則(意思表示・代理・時効等)

詐術の場合の取消権の否定

最高裁判所1969-02-13最判昭33.10.14
対抗関係登記包括承継二重譲渡民法177条民法896条第三者相続人からの譲受人

相続人から買った人も「第三者」!登記を先に取った方が勝ち

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なる子ちゃん

事案の概要

A(被相続人)は生前に自己所有の不動産をBに贈与しましたが、登記を移転しないまま死亡しました。その後、Aの相続人CがAの地位をそのまま引き継いだうえで、同じ不動産をDに譲渡し、Dが登記を備えました。BはDに対して所有権を主張しましたが、DはBより先に登記を取得していたため、BとDのどちらが所有権を主張できるかが争われました。
争点

争点

被相続人Aから不動産の贈与を受けたが未登記のBと、AをそのままAの相続人Cから同じ不動産を買い受け登記を備えたDとは、民法177条の対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が所有権を主張できるか、というのがこの事件の争点です。
判旨

判旨

相続人は被相続人の法律的地位をそのまま包括的に承継します。そのため、被相続人Aが生前にBに不動産を譲渡した後、相続人CがAの地位を引き継いでさらにDに同じ不動産を譲渡した場合、実質的にはA自身がBとDに二重譲渡した場合と異ならないことになります。したがって、相続人からの譲受人Dは民法177条にいう「第三者」に該当し、BとDは対抗関係に立ちます。つまり、登記を先に備えた方が所有権の取得を相手に対抗できるということです。
判決

判決

上告棄却。相続人の譲受人Dは民法177条の第三者に該当し、BはDに対して登記なくして所有権取得を対抗できないと判断されました。
関連法令の解説

関連法令の解説

民法177条
「不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ第三者に対抗することができない」と定めています。不動産の所有権が誰かに移転しても、登記がなければ第三者にそれを主張できないという対抗要件の規定です。本判例は、被相続人から譲渡を受けた者と相続人からの譲受人との関係にもこの条文が適用されると判断しました。

民法896条

「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定めており、これを包括承継といいます。相続人は被相続人の売主としての法的地位もそのまま引き継ぐため、本判例は相続人がAの地位を包括承継した結果として対抗関係が生じると判断する根拠としました。
身近な例え

身近な例え

学生が学割を使う時、学生証を見せないだけでは詐欺にならないけど、「社会人です」と嘘をついたら詐欺になる、というイメージです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

相続人って「被相続人の地位をまるごと引き継ぐ人」だよね。だから相続人CはAの立場をそのまま受け継いだことになる。つまり実質的には「AがBにもDにも同じ不動産を売った」二重譲渡と変わらない構造なんだよ。そうなると、BとDはお互いに民法177条の対抗関係に立って、先に登記を備えた方が勝ちってことになる。「相続人から買った人は第三者じゃないから登記いらないんじゃ?」って思いがちだけど、そこが落とし穴!相続人自身は包括承継人として第三者にならないけど、相続人からさらに買い受けたDは立派な第三者なんだね。

試験対策ポイント

相続人自身は被相続人の包括承継人であり民法177条の「第三者」にはあたらない
しかし、相続人からの譲受人(第三者)は民法177条の「第三者」にあたる

被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が勝つ

この結論は被相続人と相続人の間が贈与・売買・遺贈・死因贈与のいずれの場合にも同様に妥当する

注意:「相続人は第三者にならない=登記不要」という誤解が典型的なひっかけ問題になりやすい
法令

関連法令

関連判例

関連判例

民法最高裁判所

被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人

相続人自身は被相続人の包括承継人であり民法177条の「第三者」にはあたらない しかし、相続人からの譲受人(第三者)は民法177条の「第三者」にあたる 被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が勝つ この結論は被相続人と相続人の間が贈与・売買・遺贈・死因贈与のいずれの場合にも同様に妥当する 注意:「相続人は第三者にならない=登記不要」という誤解が典型的なひっかけ問題になりやすい

民法最高裁判所

背信的悪意者

背信的悪意者は民法177条の「第三者」に該当しないため、登記がなくても対抗できる 注意:単なる悪意(事実を知っていること)だけでは背信的悪意者にならない。信義則に反する特別な事情が必要 背信的悪意者の典型例は「登記がないことに乗じて不当な利益を得る目的」で取引した者 背信的悪意者から譲り受けた転得者については、転得者自身が背信的悪意者でなければ177条の第三者として保護される(転得者は独立して判断する) 民法177条の「第三者」から除外されるのは、背信的悪意者のほか不法占拠者・不法行為者なども同様

民法最高裁判所

解除と登記・解除前の第三者

民法545条1項ただし書きの「第三者」として保護されるには、解除前に権利を取得しており、かつ登記を備えていることが必要 解除した元の所有者と解除前の第三者は対抗関係に立ち、先に登記した方が勝つ 注意:解除後の第三者との関係は545条1項の問題ではなく民法177条の問題であり、解除前・解除後で適用条文が異なる 解除後に新たに権利を取得した第三者も177条により登記を備えた者が保護される点で結論は似ているが、根拠条文が異なることを混同しないこと 未登記の転得者は、債権者代位によって売主への登記請求もできない ただし「合意解除が信義則に反する等特段の事情」がある場合は例外的に保護される余地がある この「特段の事情」の有無が実務・試験ともに重要な判断ポイントとなる 545条1項ただし書きの「第三者」とは、解除された契約から生じた法律効果を基礎として新たな権利を取得した者をいい、単なる債権者は含まれない

民法最高裁判所

錯誤による和解契約

合意解除と転得者の関係は対抗関係として処理され、転得者が保護されるには登記が必要(善意であっても不可) 債権者代位による登記請求も、代位する丙自身が登記を備えていなければ認められない 注意:合意解除前の第三者保護は民法545条1項ただし書が根拠だが、保護のためには対抗要件(登記)の具備が必要 信義則に反する特段の事情がある場合は例外的に登記なしでも保護される余地がある(最判昭45.3.26と対比して押さえること) 解除前の第三者は登記が必要、解除後の第三者も登記で対抗関係を処理する点をセットで整理すること

民法大審院

取消しと登記・取消後の第三者

取消し前・後で適用条文が異なる点を必ず整理すること:取消し前の第三者→96条3項(善意無過失の第三者を保護・登記不要)、取消し後の第三者→177条(対抗関係・先に登記した方が勝つ) 取消し後の第三者には96条3項は適用されない。「取消し前・後を問わず96条3項で処理する」という選択肢は誤り 177条で処理されると、悪意のCでも先に登記を備えれば保護される(背信的悪意者は除く)。「善意か悪意かで結論が変わる」という誤りに注意 注意:強迫による取消しの場合、96条3項は適用されない(詐欺のみに適用)。強迫取消し前の第三者には、善意悪意を問わず取消しの効果を対抗できる 取消し後の第三者への177条適用は、**解除後の第三者(最判昭35.11.29)**と同じ論理構造であり、対比して学ぶと理解が深まる

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