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A民法債権総論

特別の事情によって生じた損害

最高裁判所1972-04-20最判昭47.4.20
特別損害価格騰貴履行不能民法416条2項損害賠償の範囲

履行不能後も価格が上がり続けているなら、売主がその事情を知っていた限り、現時点の騰貴価格で損害賠償を請求できる!

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なる子ちゃん

事案の概要

Xは不動産の売買契約を締結しましたが、売主Yが目的不動産を第三者に譲渡したため所有権移転義務が履行不能となりました。履行不能後も当該不動産の価格は騰貴し続けました。XはYに対して損害賠償を請求しましたが、Xはその不動産を転売目的ではなく自己使用のために買い受けていました。損害賠償額の算定基準時が履行不能時点の価格なのか、その後も騰貴し続けた現在の価格なのかが争われました。
争点

争点

履行不能後も価格が騰貴し続けている場合に、自己使用目的で購入した買主が現時点の騰貴した価格を基準とした損害賠償を請求できるかどうかが争点です。
判旨

判旨

売買契約の目的物である不動産の価格が売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、履行不能の際に売主がそのような特別の事情の存在することを知っていたかまたはこれを知りえた場合には、買主が右不動産を転売して利益を得るためではなくこれを自己の使用に供するために買い受けたものであるときでも、買主は売主に対し、右不動産の騰貴した現在の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求することができます。
判決

判決

騰貴した現在の価格を基準とした損害賠償請求が認容されました。
関連法令の解説

関連法令の解説

民法416条1項
債務不履行に対する損害賠償は通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とすると定めています。履行不能の場合、原則として履行不能時点の目的物の価格が通常損害として賠償の基準となります。

民法416条2項

特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者はその賠償を請求できると定めています。本判決は、価格が騰貴し続けるという事情が「特別の事情」に当たり、売主が履行不能時にその事情を知っていたか知ることができた場合に、騰貴した現在の価格を基準とした損害賠償が認められると判示しました。なお予見の主体は判例・通説上「債務者」とされており、平成29年改正で「当事者」から「債務者」へと明文化されています。
身近な例え

身近な例え

予約したコンサートチケットを勝手に転売された後、プレミア価格が更に高騰。転売者がプレミア化を知っていたなら、高騰後の価格で賠償させられる状況です。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

「不動産を買う契約をしたのに、売主が勝手に他人に売ってしまった。その間も価格がどんどん上がり続けている。今の高い価格で賠償してもらえるの?」という話。
まず、損害賠償の基本的な考え方を整理しよう。①原則:履行不能時の価格が損害賠償の基準。②例外:価格が騰貴し続けるという特別の事情があり、売主がそれを履行不能時に知っていたか知ることができたなら、現時点の騰貴した価格を基準にできる。

本件のポイントは「自己使用目的でも認められる」こと。「転売して儲ける予定だったなら分かるけど、自分で使うつもりだっただけなのに、なぜ騰貴価格で賠償できるの?」という疑問に対して、最高裁は「履行不能がなければ価格が上がった不動産を自分のものにできたはずだ。自己使用目的か否かは関係ない」と答えた。

試験対策ポイント

原則:損害賠償額の算定基準は履行不能時の価格
例外:①価格が騰貴し続けるという特別の事情があり、②売主が履行不能時にその事情を知っていたか知ることができた場合、現時点の騰貴価格を基準にできる

自己使用目的であっても騰貴価格による賠償が認められる点が本判決の核心

予見の主体は債務者(売主)、予見の時期は履行不能時

価格がいったん騰貴した後に下落した場合(中間最高価格):転売等で騰貴利益を確実に取得できたことの予見可能性も追加で必要(より厳しい要件)

価格が現在も騰貴し続けている場合(本判決):転売の予見可能性の立証は不要
法令

関連法令

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