A憲法参政権・社会権
塩見訴訟
最高裁判所1991-02-02最判平元.3.2
外国人の社会権障害福祉年金立法裁量自国民優先社会保障
外国人の社会保障は国会の裁量次第!自国民を優先することも憲法上許される
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事案の概要
X(塩見氏)は大阪生まれの在日韓国人で、幼少時にはしかで失明した視覚障害者です。後に日本人男性と結婚して帰化し日本国籍を取得しましたが、障害福祉年金(現在の障害基礎年金に相当)の裁定請求をしたところ、「廃疾認定日(昭和34年11月1日)に日本国民でなかった者には支給しない」という当時の国民年金法の国籍条項を理由に却下されました。XはこのY(国)による却下処分を違憲・違法として取消しを求め提訴したのがこの事件です。
争点
在留外国人を障害福祉年金の受給対象から国籍を理由に除外する旧国民年金法の規定は、憲法25条(生存権)・憲法14条1項(平等原則)・憲法98条2項(国際法規遵守)に違反するか。
判旨
憲法25条が保障する生存権の具体的内容の形成は立法府の広い裁量に委ねられており、社会保障における在留外国人の取り扱いは、特別の条約がない限り、外交関係・国際情勢・国内事情等を踏まえた国の政治的判断によって決定できます。限られた財源のもとで自国民を在留外国人より優先することも許容されます。また憲法14条1項の平等原則は外国人にもその趣旨が及びますが、自国民を優先して在留外国人を支給対象から除くことや廃疾認定日を制度発足時の昭和34年11月1日として同日の日本国籍を要件とすることは立法裁量の範囲に属し、合理性を否定できないため、14条1項にも違反しません。さらに憲法98条2項についても違反しないと判断されました。つまり外国人の社会保障については、憲法が直接保障するのではなく国会の判断に広く委ねられているということです。
判決
上告棄却。在留外国人を障害福祉年金の受給対象から除外することは立法裁量の範囲内であり、憲法25条・14条1項・98条2項のいずれにも違反しないと判断された。原告の請求は棄却された。
関連法令の解説
憲法25条(生存権・社会保障)
すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有し(1項)、国はすべての生活部面について社会福祉・社会保障の向上増進に努めなければならない(2項)ことを定めています。本判決は、憲法25条は国が個々の国民に具体的義務を負うものではなく、その具体的内容の形成は立法府の広い裁量に委ねられると解しました(堀木訴訟の判示を引用)。
憲法14条1項(法の下の平等)
すべて国民は法の下に平等であり、人種・信条・性別・社会的身分・門地による差別を受けないことを定めています。本判決は、外国人にもこの規定の趣旨は及ぶことを前提としつつ、自国民を在留外国人より優先した国籍条項は合理性があり平等原則に違反しないと判断しました。
憲法98条2項(条約・国際法規の遵守)
日本国が締結した条約および確立された国際法規を誠実に遵守することを定めています。本判決では、国籍条項が確立した国際法規(国際慣習法)上の義務に違反するかが争われ、違反しないと判断されました。
すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有し(1項)、国はすべての生活部面について社会福祉・社会保障の向上増進に努めなければならない(2項)ことを定めています。本判決は、憲法25条は国が個々の国民に具体的義務を負うものではなく、その具体的内容の形成は立法府の広い裁量に委ねられると解しました(堀木訴訟の判示を引用)。
憲法14条1項(法の下の平等)
すべて国民は法の下に平等であり、人種・信条・性別・社会的身分・門地による差別を受けないことを定めています。本判決は、外国人にもこの規定の趣旨は及ぶことを前提としつつ、自国民を在留外国人より優先した国籍条項は合理性があり平等原則に違反しないと判断しました。
憲法98条2項(条約・国際法規の遵守)
日本国が締結した条約および確立された国際法規を誠実に遵守することを定めています。本判決では、国籍条項が確立した国際法規(国際慣習法)上の義務に違反するかが争われ、違反しないと判断されました。
身近な例え
家計が厳しい家庭で、まず家族の生活費を優先し、親戚への援助は後回しにするのと似た考え方です。どこまで支援するかは家庭の判断に委ねられます。
ざっくりまとめ
「帰化して日本人になったのに、過去に外国人だったからって年金もらえないの?」って話。外国人の自由権(表現の自由とか)は性質上日本人と同じように保護されるけど、社会権(年金や福祉)は国家が積極的に給付するものだから、外国人への保障は「国会が決める話」なんだよね。財源が限られてる中で自国民を優先するのは裁量の範囲内、というのがこの判決のポイント。「外国人に社会保障ゼロ」じゃなくて「どこまで保障するかは国会が決める」ってことが大事!
試験対策ポイント
社会保障分野で在留外国人をどう処遇するかは、特別の条約がない限り国の政治的判断で決定できる
限られた財源のもとで自国民を在留外国人より優先することは憲法上許容される
定住外国人か否かを区別した判示はしておらず、在留外国人全般について自国民優先を認めた点に注意
注意:本判決は外国人が「一切社会保障を受けられない」としたのではなく、どこまで保障するかが立法裁量の問題であると判示した点を混同しないこと
憲法14条1項の趣旨は外国人にも及ぶことを前提としつつ、国籍条項は合理性があるとして違反を否定した構造を押さえること
関連法令
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