A民法物権
共有物の保存
最高裁判所2003-07-11最判平15.7.11
共有物保存行為持分移転登記の抹消単独請求妨害排除
ウソの登記は単独で消せる!不実登記の抹消は保存行為だ
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事案の概要
共有不動産に、実際には何の権利も持っていない第三者への持分移転登記(いわゆる「不実登記」)がされてしまいました。共有者の一人が、他の共有者の同意を得ることなく、単独でその抹消を求める訴訟を起こしました。問題は、共有物に関する行為は原則として他の共有者の同意が必要なところ、この抹消請求が「単独でできる保存行為」に該当するかどうかでした。登記名義が誰のものかは不動産の権利関係そのものに直結するため、放置すれば共有者全員に不利益が及ぶ深刻な問題です。
争点
共有不動産について実体上の権利を持たない者に対する持分移転登記の抹消請求が、民法252条ただし書の「保存行為」にあたり、共有者の一人が他の共有者の同意なく単独でその抹消を請求できるかどうかというのがこの事件の争点です。
判旨
不動産の共有者は、自らの持分権に基づいて共有不動産に対する妨害を排除する権利を持っています。実体のない持分移転登記が入っている状態は、まさに共有不動産に対する妨害状態が生じているといえます。共有者の一人はこの妨害を排除するために、自己の持分権を根拠として単独で行動できます。この抹消請求は共有物の現状を正しい状態に回復させる「保存行為」にあたるため、他の共有者の同意を得る必要はありません。つまり、実体上の権利を全く持たない者が持分移転登記を経由している場合、共有者の一人がその抹消登記手続を単独で請求できるということです。
判決
不動産の共有者の一人は、共有不動産について実体上の権利を有しないにもかかわらず持分移転登記を了している者に対し、その持分移転登記の抹消登記手続を請求することができると判断されました。
関連法令の解説
民法252条(共有物の管理)
この条文は、共有物の管理に関する事項は共有者の持分の過半数で決すると定めており、共有物の変更(重大な変更)には全員の同意が必要とされています。一方で同条ただし書は、「保存行為」については各共有者が単独で行うことができると定めています。保存行為とは共有物の現状を維持・回復するための行為のことで、腐れかけた塀の修繕や不法占拠者への明渡請求などが典型例です。本判例は「不実登記の抹消請求」がこの保存行為にあたると判示しました。
この条文は、共有物の管理に関する事項は共有者の持分の過半数で決すると定めており、共有物の変更(重大な変更)には全員の同意が必要とされています。一方で同条ただし書は、「保存行為」については各共有者が単独で行うことができると定めています。保存行為とは共有物の現状を維持・回復するための行為のことで、腐れかけた塀の修繕や不法占拠者への明渡請求などが典型例です。本判例は「不実登記の抹消請求」がこの保存行為にあたると判示しました。
身近な例え
兄弟で共有する家の権利証に、赤の他人の名前が勝手に書き込まれたとき、兄弟の一人が他の兄弟に相談せず単独で消しゴムで消せるようなものです。
ざっくりまとめ
共有の土地や建物に「俺も持分を持ってるぞ」って感じで勝手に登記を入れられた事件なんだよね。本来は共有物の管理・変更には他の共有者の同意がいるんだけど、「ウソの登記を消す」ってのは共有物の正しい状態を取り戻す行為だから「保存行為」にあたるって言ったわけ。保存行為は単独でできるから、他の共有者に声をかけなくても一人で抹消請求できる!不正登記への対処を一人で動けるって、実務的にもめちゃくちゃ重要なポイントだよ。
試験対策ポイント
不実登記の抹消請求=保存行為にあたり、共有者が単独で行うことができる
請求の根拠は「保存行為」であると同時に、「持分権に基づく妨害排除請求」でもある点を押さえること
注意:「共有物の変更だから全員の同意が必要では?」という引っかけに対し、抹消請求は「現状を回復・維持する行為」であり変更行為ではないと整理する
注意:自己の持分についてのみ抹消請求できるのではなく、共有不動産全体について単独で請求できる点が重要
関連法令
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