在外邦人国民審査権確認等事件
海外に住む日本人にも国民審査権あり!放置し続けた国会の怠慢は違憲かつ違法
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事案の概要
争点
判旨
【原文】
2 国が在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に対して国外に住所を有することをもって次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが憲法15条1項、79条2項、3項等に違反して違法であることの確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
判決
関連法令の解説
この条文は、公務員を選定・罷免することは国民固有の権利であることを定めています。国民審査制度は最高裁裁判官を罷免する権利として、この条文が根拠の一つとなります。
憲法79条2項・3項(最高裁裁判官の国民審査)
2項は、最高裁裁判官は任命後初めて行われる衆院総選挙の際に国民審査に付されること、以後10年ごとに同様とすることを定めています。3項は、投票者の多数が罷免を可とするときは罷免されることを定めています。本判決は、これらの規定から「憲法は在外国民を含む国民全体に対して審査権を行使する機会を平等に保障している」と解釈しました。
国家賠償法1条1項
この条文は、公権力の行使にあたる公務員が故意または過失によって違法に他人に損害を与えた場合に国が賠償責任を負うことを定めています。本判決では、国会の立法不作為(やるべき法律を作らなかった行為)がこの条文の「違法」にあたるかが争われました。
最高裁判所裁判官国民審査法4条・8条
国民審査の手続きを定めた法律ですが、在外国民に審査権の行使を認める規定を欠いており、これが違憲と判断されました。
身近な例え
ざっくりまとめ
試験対策ポイント
在外国民に国民審査への参加を認めない国民審査法の規定は憲法15条1項・79条2項・3項に違反する(法令違憲)
立法不作為が国家賠償法1条1項の違法にあたると判断されるのは例外的であり、「憲法上保障された権利行使の機会確保のための立法が必要不可欠かつ明白であるのに、国会が正当な理由なく長期間怠った場合」に限られる
本判決は裁判官全員一致の意見であり、きわめて画期的な判決であること
注意:判決日は令和4年(2022年)5月25日であり、「令和5年」「2023年」は誤り
行政事件訴訟法4条(公法上の当事者訴訟)も関連条文として重要——在外国民の違法確認の訴えがこれにより適法とされた点も押さえること
関連法令
関連判例
在外選挙権制限事件
国会議員の立法行為・立法不作為が国賠上の違法となるのは例外的な場合に限られる 例外的に違法となる2つの場合:①憲法上の権利を違法に侵害することが明白、②権利行使のための立法が必要不可欠かつ明白なのに正当な理由なく長期間放置 注意:単に立法が遅れただけでは足りず、著しい不作為といえる程度に至ることが必要 本件では廃案後10年以上の不作為が「著しい不作為」として違法と認定された 立法不作為が国賠の対象となる典型判例として、行政書士試験でも頻出
教科書検定事件
教科書検定は憲法21条2項の検閲にあたらない(理由:一般図書として出版可能であり、発表禁止目的・発表前審査の特質がないため) 教科書は学術研究発表の場ではないため、検定は憲法23条の学問の自由(研究発表の自由)を直接侵害しない 国は子どもに適切な教育を保障するために必要かつ相当な範囲で教育内容を決定できる(憲法26条合憲の根拠) 個別の検定処分が国賠法上違法になる基準:「審議会の判断過程に看過し難い過誤があって、文部大臣の判断がこれに依拠した場合」 注意:制度全体は合憲だが、個別処分は専門家の見解を無視するなど著しく不合理な場合は裁量権の逸脱・濫用として国家賠償法上違法になりうる 本件は第一次家永教科書訴訟(家永全面敗訴)であり、第三次訴訟(最判平9.8.29)では4件について裁量権逸脱が認められた点と混同しないこと
在宅投票制度廃止事件
国会議員の立法行為(立法不作為を含む)にも国家賠償法1条1項は適用される(適用の可否と違法性判断は別問題) 国賠法上の違法となるのは、「憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行う」という例外的な場合のみ 在宅投票制度の廃止・不作為はこの例外にあたらず、国賠法上は適法と判断された 注意:立法内容が違憲であることと立法行為が国賠法上違法であることは別概念であり、違憲=違法ではない **後続の在外邦人選挙権訴訟(最大判平17.9.14)**では違法基準が修正・拡張され、本判決と「異なる趣旨ではない」と整理されている。セットで理解すること 憲法47条が投票方法を国会の裁量に委ねているという点が、本件不作為が例外に当たらない理由として重要
臨時会召集遅延事件
パトカーによる追跡行為の違法性
パトカーによる追跡行為自体は正当な職務行為であり、ただちに違法とはならない。追跡=違法という短絡的な理解は誤り。 違法となる要件は2つ:①追跡が職務目的遂行上「不必要」である場合、②追跡の開始・継続・方法が「不相当」である場合。この2要件をそのまま覚えること。 「不相当」の判断には道路状況・逃走態様から予測される被害発生の具体的危険性が考慮される。抽象的な危険ではなく具体的危険性がポイント。 注意:直接事故を起こしたのは逃走車両の運転者であっても、追跡行為の違法性が問われうる。因果関係の問題と違法性の問題を混同しないこと。 警察法2条・警察官職務執行法2条1項が追跡行為の職務上の根拠として示されている点も確認すること。
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