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A憲法参政権・社会権

在外邦人国民審査権確認等事件

最高裁判所大法廷2023-04-25最大判令4.5.25
国民審査権在外国民立法不作為参政権国家賠償やむを得ない事由

海外に住む日本人にも国民審査権あり!放置し続けた国会の怠慢は違憲かつ違法

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なる子ちゃん

事案の概要

海外に住む日本国民X1ら(在外国民)5名は、最高裁判所裁判官の国民審査(最高裁の裁判官を罷免するかどうかを国民が投票で判断する制度)に参加できないことを問題視しました。X1は国に対して、①次回の国民審査で審査権を行使できる地位の確認、②できないことが違法であることの確認を求めました。また全員で、国会が長年にわたり在外国民向けの審査制度を創設しなかったこと(立法不作為)を理由に、国家賠償を求めて提訴しました。
争点

争点

在外国民に国民審査への参加を認めない国民審査法の規定が憲法15条1項・79条2項および3項に違反するか、また国会が長年にわたり在外審査制度の創設を怠った立法不作為が国家賠償法1条1項の違法にあたるか、というのがこの事件の争点です。
判旨

判旨

国民審査権は、国民主権の原理に基づく主権者の権能の一内容であり、選挙権と同様の性質を有します。憲法は在外国民を含む国民に対して審査権を平等に行使する機会を保障していると解されるため、審査権またはその行使の制限には「やむを得ない事由」が必要です。国は投票用紙の送付が物理的に間に合わないと主張しましたが、記名式など別の投票方式を採ることもできるため、やむを得ない事由があるとはとても言えません。したがって国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは憲法に違反します。さらに、平成10年の在外選挙制度の議論から問題の認識があり、平成17年の在外選挙権大法廷判決後も10年以上立法措置がとられなかったことは、国家賠償法1条1項の違法にもあたります。つまり、国会が「明らかにやるべき立法を正当な理由なく長期間放置した」こと自体が賠償責任を生じさせるということです。
【原文】

2 国が在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に対して国外に住所を有することをもって次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが憲法15条1項、79条2項、3項等に違反して違法であることの確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。
判決

判決

一部破棄自判・一部棄却。在外国民の国民審査参加を認めない国民審査法の規定は違憲であり、立法不作為は国家賠償法1条1項の違法にあたる(原告1人あたり5,000円の賠償を認容)。裁判官全員一致の意見。
関連法令の解説

関連法令の解説

憲法15条1項(公務員の選定・罷免権)
この条文は、公務員を選定・罷免することは国民固有の権利であることを定めています。国民審査制度は最高裁裁判官を罷免する権利として、この条文が根拠の一つとなります。

憲法79条2項・3項(最高裁裁判官の国民審査)

2項は、最高裁裁判官は任命後初めて行われる衆院総選挙の際に国民審査に付されること、以後10年ごとに同様とすることを定めています。3項は、投票者の多数が罷免を可とするときは罷免されることを定めています。本判決は、これらの規定から「憲法は在外国民を含む国民全体に対して審査権を行使する機会を平等に保障している」と解釈しました。

国家賠償法1条1項

この条文は、公権力の行使にあたる公務員が故意または過失によって違法に他人に損害を与えた場合に国が賠償責任を負うことを定めています。本判決では、国会の立法不作為(やるべき法律を作らなかった行為)がこの条文の「違法」にあたるかが争われました。

最高裁判所裁判官国民審査法4条・8条

国民審査の手続きを定めた法律ですが、在外国民に審査権の行使を認める規定を欠いており、これが違憲と判断されました。
身近な例え

身近な例え

マンションの管理人を選ぶ投票権があるのに、同じ住民なのに海外出張中というだけで管理人の解任投票には参加できないと言われるようなもの。同じ権利なのに不公平ですよね。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

国民審査って「嫌いな最高裁の裁判官に×をつけて罷免できる」制度だよね。でも海外に住む日本人はずっとこれができなかった。選挙権と同じくらい大事な権利なんだから、「やむを得ない事情がない限り制限はNG」って裁判所は言ったんだよ。さらに「技術的に難しかっただけで不可能じゃなかったのに、国会が10年以上放置した」のは立法不作為として国家賠償責任もあり!ってなった。裁判官全員一致で違憲ってなった超重要判例だよ!

試験対策ポイント

国民審査権は選挙権と同様の性質を有する主権者の重要な権利であり、やむを得ない事由がない限り制限は許されない(厳格審査基準)
在外国民に国民審査への参加を認めない国民審査法の規定は憲法15条1項・79条2項・3項に違反する(法令違憲)

立法不作為が国家賠償法1条1項の違法にあたると判断されるのは例外的であり、「憲法上保障された権利行使の機会確保のための立法が必要不可欠かつ明白であるのに、国会が正当な理由なく長期間怠った場合」に限られる

本判決は裁判官全員一致の意見であり、きわめて画期的な判決であること

注意:判決日は令和4年(2022年)5月25日であり、「令和5年」「2023年」は誤り

行政事件訴訟法4条(公法上の当事者訴訟)も関連条文として重要——在外国民の違法確認の訴えがこれにより適法とされた点も押さえること
法令

関連法令

関連判例

関連判例

憲法最高裁判所大法廷

在外選挙権制限事件

国会議員の立法行為・立法不作為が国賠上の違法となるのは例外的な場合に限られる 例外的に違法となる2つの場合:①憲法上の権利を違法に侵害することが明白、②権利行使のための立法が必要不可欠かつ明白なのに正当な理由なく長期間放置 注意:単に立法が遅れただけでは足りず、著しい不作為といえる程度に至ることが必要 本件では廃案後10年以上の不作為が「著しい不作為」として違法と認定された 立法不作為が国賠の対象となる典型判例として、行政書士試験でも頻出

憲法最高裁判所

教科書検定事件

教科書検定は憲法21条2項の検閲にあたらない(理由:一般図書として出版可能であり、発表禁止目的・発表前審査の特質がないため) 教科書は学術研究発表の場ではないため、検定は憲法23条の学問の自由(研究発表の自由)を直接侵害しない 国は子どもに適切な教育を保障するために必要かつ相当な範囲で教育内容を決定できる(憲法26条合憲の根拠) 個別の検定処分が国賠法上違法になる基準:「審議会の判断過程に看過し難い過誤があって、文部大臣の判断がこれに依拠した場合」 注意:制度全体は合憲だが、個別処分は専門家の見解を無視するなど著しく不合理な場合は裁量権の逸脱・濫用として国家賠償法上違法になりうる 本件は第一次家永教科書訴訟(家永全面敗訴)であり、第三次訴訟(最判平9.8.29)では4件について裁量権逸脱が認められた点と混同しないこと

憲法最高裁判所

在宅投票制度廃止事件

国会議員の立法行為(立法不作為を含む)にも国家賠償法1条1項は適用される(適用の可否と違法性判断は別問題) 国賠法上の違法となるのは、「憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行う」という例外的な場合のみ 在宅投票制度の廃止・不作為はこの例外にあたらず、国賠法上は適法と判断された 注意:立法内容が違憲であることと立法行為が国賠法上違法であることは別概念であり、違憲=違法ではない **後続の在外邦人選挙権訴訟(最大判平17.9.14)**では違法基準が修正・拡張され、本判決と「異なる趣旨ではない」と整理されている。セットで理解すること 憲法47条が投票方法を国会の裁量に委ねているという点が、本件不作為が例外に当たらない理由として重要

憲法最高裁判所

臨時会召集遅延事件

行政法最高裁判所

パトカーによる追跡行為の違法性

パトカーによる追跡行為自体は正当な職務行為であり、ただちに違法とはならない。追跡=違法という短絡的な理解は誤り。 違法となる要件は2つ:①追跡が職務目的遂行上「不必要」である場合、②追跡の開始・継続・方法が「不相当」である場合。この2要件をそのまま覚えること。 「不相当」の判断には道路状況・逃走態様から予測される被害発生の具体的危険性が考慮される。抽象的な危険ではなく具体的危険性がポイント。 注意:直接事故を起こしたのは逃走車両の運転者であっても、追跡行為の違法性が問われうる。因果関係の問題と違法性の問題を混同しないこと。 警察法2条・警察官職務執行法2条1項が追跡行為の職務上の根拠として示されている点も確認すること。

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