S民法親族・相続
特定の財産を特定の相続人に相続させる旨の遺言
最高裁判所1991-04-19
相続させる旨の遺言特定財産承継遺言遺産分割方法の指定民法908条当然承継遺贈との区別遺言執行者不要
「相続させる」遺言は遺贈じゃない!遺産分割方法の指定で死亡と同時に当然承継
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事案の概要
被相続人が遺言書に「特定の不動産をA(特定の相続人)に相続させる」と記載した遺言を残して死亡した。この「相続させる」という表現の遺言が、法的性質として遺贈(民法964条)なのか遺産分割方法の指定(民法908条)なのかが争われた。遺贈と解釈されるか遺産分割方法の指定と解釈されるかによって、登記手続・遺言執行者の要否・承継の時期などに差異が生じるため、実務上も重要な判断が求められた。
争点
「特定の遺産を特定の相続人に相続させる」という遺言の法的性質が遺贈か遺産分割方法の指定かどうか、また承継の効果がいつ・どのような手続きで生じるかが争点です。
判旨
遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載からその趣旨が遺贈であることが明らかであるか、または遺贈と解すべき特段の事情がない限り、当該遺産について相続人に単独で取得させる旨の遺産分割方法の指定(民法908条)と解すべきです。この場合、相続によるその遺産の承継を相続人の受諾の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為も要せずして被相続人の死亡と同時に直ちに承継されます。
判決
「相続させる」遺言は原則として遺産分割方法の指定であり、被相続人の死亡と同時に対象財産は指定相続人に当然承継される。
関連法令の解説
民法908条(遺産分割方法の指定)
この条文は被相続人が遺言で遺産分割の方法を定めることができると規定しています。本判例では「相続させる」遺言は原則としてこの遺産分割方法の指定にあたると判示され、被相続人の死亡と同時に対象財産が指定相続人に当然承継されると解されました。
民法964条(遺贈)
この条文は遺言によって財産を贈与する遺贈を定めています。遺贈の場合は遺言執行者による履行・受贈者の受諾等が必要となりますが、本判例では「相続させる」遺言は特段の事情がない限り遺贈と解すべきではないとされました。
この条文は被相続人が遺言で遺産分割の方法を定めることができると規定しています。本判例では「相続させる」遺言は原則としてこの遺産分割方法の指定にあたると判示され、被相続人の死亡と同時に対象財産が指定相続人に当然承継されると解されました。
民法964条(遺贈)
この条文は遺言によって財産を贈与する遺贈を定めています。遺贈の場合は遺言執行者による履行・受贈者の受諾等が必要となりますが、本判例では「相続させる」遺言は特段の事情がない限り遺贈と解すべきではないとされました。
身近な例え
親が「この部屋は長男に使わせる」と決めたら、わざわざ引き渡し手続きをしなくても、親の死後すぐにその部屋は長男のものになるようなイメージです。
ざっくりまとめ
遺言書に「Aに相続させる」と書いてある場合、これは遺贈なのか、それとも遺産分割の方法の指定なのかが問題になるんだよ。
遺贈だとすると、遺言執行者が必要だったり受諾の意思表示が必要だったりと手続きが複雑になる。
でもこの判例では、「相続させる」という表現は特段の事情がない限り遺産分割方法の指定と解釈するべきとされたんだ。
そうすると被相続人が死亡した瞬間に、何らの行為も要せずして当然にその財産がAに承継されるんだよ。
ただし指定された相続人が遺言者より先に死亡していた場合は、その遺言の効力は生じないという点も重要だよ。
遺贈だとすると、遺言執行者が必要だったり受諾の意思表示が必要だったりと手続きが複雑になる。
でもこの判例では、「相続させる」という表現は特段の事情がない限り遺産分割方法の指定と解釈するべきとされたんだ。
そうすると被相続人が死亡した瞬間に、何らの行為も要せずして当然にその財産がAに承継されるんだよ。
ただし指定された相続人が遺言者より先に死亡していた場合は、その遺言の効力は生じないという点も重要だよ。
試験対策ポイント
被相続人の死亡と同時に何らの行為も要せずして当然に承継される
遺言執行者の選任・登記手続は不要(ただし遺言執行者は登記手続の義務を負わない)
指定された相続人が遺言者より先に死亡していた場合は当該遺言の効力は生じない
令和元年改正後は「特定財産承継遺言」として明文化(民法1014条2項)された点も押さえること
関連法令
出題年度
2019年
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