B民法担保物権
抵当権の及ぶ範囲
最高裁判所1965-05-04最判昭40.05.04
民法370条民法612条抵当権の効力敷地の賃借権付随・一体の財産的価値競落人賃貸人の承諾不要建物所有権との一体性
建物抵当権の効力は敷地の賃借権にも及ぶ!競落人は賃貸人の承諾なしで賃借権を取得
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事案の概要
土地を借りて建物を所有していたAが、その建物に抵当権を設定した。抵当権が実行されてBが競売で建物を競落(落札)した場合、Aが持っていた土地の賃借権もBに移転するかが問題となった。土地の賃貸人(地主)は「賃借権の譲渡には自分の承諾が必要なはず」と主張し、土地の明渡しを求めた。建物の抵当権の効力が敷地の賃借権にまで及ぶかどうかが争われた。
争点
土地賃借人がその土地上の建物に抵当権を設定した場合、抵当権の効力は敷地の賃借権にまで及ぶか、また競落人は賃貸人の承諾なしに賃借権を取得できるか、が争点です。
判旨
建物を所有するために必要な敷地の賃借権は、建物所有権に付随し、これと一体となって一つの財産的価値を形成しています。したがって、土地賃借人がその土地上の建物に抵当権を設定した場合、原則として抵当権の効力は敷地の賃借権にも及びます。建物が競売にかかり競落人が建物の所有権を取得した場合、建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当です。つまり、賃貸人の承諾がなくても競落人は賃借権を取得でき、地主は競落人に対して土地の明渡しを請求することはできないということです。
【原文】
一 土地賃借人が該土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の競落人と賃借人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である。
【原文】
一 土地賃借人が該土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の競落人と賃借人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も競落人に移転するものと解するのが相当である。
判決
建物の抵当権の効力は敷地の賃借権に及び、競落人は賃貸人の承諾なしに賃借権を取得すると判断された。
関連法令の解説
民法370条
この条文は「抵当権は、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ」と定めています。本判決では、建物に設定された抵当権の効力が、建物所有権に付随して一体の財産的価値を形成する敷地の賃借権にも及ぶと解釈されました。賃借権は物ではありませんが、建物の担保価値を構成する不可欠な権利として370条の趣旨が及ぶとされました。
民法612条(賃借権の無断譲渡禁止)
この条文は、賃借人が賃貸人の承諾なく賃借権を譲渡することを禁止しています。しかし本判決では、抵当権の実行による競落の場合は通常の任意譲渡とは性質が異なり、賃貸人の承諾なしに競落人が賃借権を取得できると判断されました。
この条文は「抵当権は、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ」と定めています。本判決では、建物に設定された抵当権の効力が、建物所有権に付随して一体の財産的価値を形成する敷地の賃借権にも及ぶと解釈されました。賃借権は物ではありませんが、建物の担保価値を構成する不可欠な権利として370条の趣旨が及ぶとされました。
民法612条(賃借権の無断譲渡禁止)
この条文は、賃借人が賃貸人の承諾なく賃借権を譲渡することを禁止しています。しかし本判決では、抵当権の実行による競落の場合は通常の任意譲渡とは性質が異なり、賃貸人の承諾なしに競落人が賃借権を取得できると判断されました。
身近な例え
家具付きマンションを借りる権利を競売で買ったら、家具だけでなくマンションを使う権利も当然ついてくるのと同じ。建物と土地を借りる権利は一体だということです。
ざっくりまとめ
土地を借りて建物を建てた人が、建物に抵当権を設定するとき、その土地の賃借権も一緒に担保の価値を形成してるよね。建物だけ競落しても土地を使えなければ意味がないんだよ。最高裁は「敷地の賃借権は建物所有権に付随して一体の財産的価値を形成しているから、抵当権の効力は賃借権にも及ぶ」と判断したんだ。だから競落人は地主の承諾なしで賃借権を取得できるよ。でも注意!通常の賃借権譲渡なら地主の承諾が必要(民法612条)だけど、抵当権実行による場合は承諾不要っていう例外だよ!
試験対策ポイント
建物の競落人は、賃貸人の承諾なしに建物所有権とともに土地の賃借権を取得する
注意:通常の賃借権譲渡は民法612条により賃貸人の承諾が必要だが、抵当権実行による移転は例外であり承諾不要
抵当権の効力が及ぶ範囲として付加一体物(民法370条)、従物(民法87条2項)、果実(民法371条)と合わせて整理しておくこと
関連法令
出題年度
2018年
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