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警察法改正無効事件

最高裁判所大法廷1962-03-07最大判昭37.03.07
司法権の限界自律権議事手続司法審査憲法81条憲法76条1項憲法92条地方自治の本旨法令審査権

国会の議事手続は裁判所には審査できない!議院の自律権が優先される

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なる子ちゃん

事案の概要

昭和29年に警察法が全面改正され、従来の市町村警察が廃止されて都道府県警察に組織変更されました。この法改正の際、衆議院の会期延長の議決が野党の妨害で混乱した状態で行われたとして、議決の有効性が争われました。大阪府がその新警察法に基づいて警察予算を議会で可決したところ、住民X(原告)が、新警察法は憲法92条・94条(地方自治の本旨)に違反し無効であるとして、地方自治法に基づく公金支出の禁止を求めて訴訟を提起しました。
争点

争点

この事件には2つの争点があります。第一に、国会の両議院における法律制定の議事手続の適否について裁判所の司法審査が及ぶか、という問題です。第二に、市町村警察を廃止して都道府県警察に移管した新警察法の内容が憲法92条の地方自治の本旨に反するか、という問題です。
判旨

判旨

第一の争点について、裁判所は法律・命令等の違憲審査権を持ちますが、両院が自らの内部事項を自主的に規律する「自律権」については、両院の自主性を尊重すべきであり、議事手続に関する事実を審理してその有効無効を判断すべきではないと判断しました。第二の争点について、市町村警察を廃止してその事務を都道府県警察に移したことは、地方自治の本旨に反するものとは解されず、新警察法は憲法92条に違反する無効な法律とはいえないと判断しました。
判決

判決

上告棄却。国会の議事手続への司法審査は及ばず、また新警察法の内容も憲法92条に違反しないと判断されました。
関連法令の解説

関連法令の解説

憲法76条1項
「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」と定めており、司法権の範囲を規定しています。本判例では、この司法権が及ぶ範囲の限界として、国会の自律権に属する議事手続は司法審査の対象外とされました。

憲法81条

「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と定める違憲審査権の規定です。この法令審査権は広範ですが、国会の議事手続という内部事項に対しては及ばないと本判例は判断しました。

憲法92条(地方自治の基本原則)

「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と定めています。本判例では、市町村警察を廃止して都道府県警察に移すことは「地方自治の本旨」に反しないと判断されました。
身近な例え

身近な例え

学校の生徒会が会議のルールを自分たちで決めるように、国会も内部の手続は自分たちで決める権限があり、外部(裁判所)は原則として干渉できないというイメージです。
なる子ちゃん

ざっくりまとめ

この事件のポイントは大きく2つあるんだよ。まず「国会の議事手続に裁判所は口を出せるか」という問題。国会の両院が自分たちの内部で決めることは「自律権」として尊重されなきゃいけないから、裁判所は議事手続の有効・無効を審理すべきじゃないって判断された。混乱した状態で採決されたとしても、それを裁判所が「無効だ」と言えないんだよね。次に「市町村警察を廃止したのは地方自治の本旨に反しないか」という問題。これは内容の話だから裁判所も判断できて、憲法92条違反には当たらないと結論が出たんだ。手続の問題と内容の問題は分けて考えるってのがポイントだよ。

試験対策ポイント

裁判所の法令審査権(憲法81条)は、国会の両院における法律制定の議事手続の適否には及ばない
この理由は、議院が自らの内部事項を自主的に決める「自律権」を裁判所は尊重すべきだから

注意:議事手続は審査対象外だが、法律の内容(実体)については通常通り違憲審査の対象となる

市町村警察を廃止して都道府県警察に移すことは憲法92条(地方自治の本旨)に違反しない

本判例は司法権の限界の典型例として、統治行為論・自律権・部分社会の法理とセットで整理しておく
法令

関連法令

関連判例

関連判例

憲法最高裁判所大法廷

苫米地事件

統治行為とは、高度な政治性を持つ国家行為であり、法的判断が技術的に可能でも司法審査の対象から外れる 統治行為の根拠は「最終的に国民の政治判断に委ねるべき」という民主主義的考え方にある 注意:砂川事件では「一見して明白に違憲無効な場合」には審査が及びうるという余地を残しており、苫米地事件とは説明がやや異なる 憲法7条のみによる衆議院解散の合憲性については、最高裁は統治行為論によって判断を回避しており、実体的な結論は示していない 統治行為論は**砂川事件(最大判昭34.12.16)**でも採用されており、あわせて整理すること

憲法最高裁判所大法廷

警察予備隊違憲訴訟

日本の違憲審査制は付随的違憲審査制であり、具体的な争訟事件に付随してのみ違憲審査を行うことができる 具体的事件なしに法令の合憲性を抽象的に審査する抽象的違憲審査権は認められていない 注意:本件の結論は棄却ではなく却下。そもそも訴えが不適法として審理に入らなかった 下級裁判所も違憲立法審査権を行使できる。違憲審査権は最高裁判所だけの権限ではない 対比:ドイツ型の抽象的違憲審査制では具体的事件なしに審査できるが、日本はこれを採用していない

憲法最高裁判所大法廷

出席停止処分取消等請求事件

地方議会議員への出席停止の懲罰は司法審査の対象となる(常に適否を判断できる) 根拠は、出席停止が議員の中核的活動を制約し、住民の負託に応える責務を果たせなくさせるため 注意:議会に一定の裁量は認められるが、司法審査は排除されない 本判決は判例変更であり、除名以外の懲罰は司法審査の対象外とした最大判昭35.10.19を変更した点が重要 除名処分は従来から司法審査の対象とされており、本判決により出席停止もその対象となった

憲法最高裁判所

富山大学単位不認定事件

部分社会の法理:大学・政党・地方議会などの内部問題は、一般市民法秩序と直接関係しない限り司法審査の対象とならない 単位不認定→大学内部の純然たる教育上の問題→司法審査の対象外(原則) 専攻科修了不認定→国公立大学は「公の施設」→学生の一般市民としての利用権侵害→司法審査の対象となる 分岐の判断基準は「一般市民法秩序と直接の関係を有するかどうか」 注意:単位不認定でも「特段の事情」(その単位取得自体が一般市民法上の資格要件とされる場合など)があれば司法審査の対象になり得る 関連判例として、地方議会議員懲罰事件(最大判昭35.10.19)・共産党袴田事件(最判昭63.12.20)とあわせて部分社会の法理全体を整理すること

憲法最高裁判所大法廷

朝日訴訟

憲法25条1項はプログラム規定:国の責務を宣言するものにすぎず、直接具体的権利を付与しない 生活保護基準の設定は厚生大臣の裁量に委ねられ、裁量権の逸脱・濫用がある場合のみ違法・司法審査の対象となる 生活保護受給権は法的権利であるが一身専属権であり、譲渡・相続の対象にならない 被保護者が死亡すると取消訴訟は当然終了し相続人には承継されない 注意:生活保護受給権を「反射的利益にすぎない」と誤解しないこと。法的権利ではあるが一身専属という点が核心

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